はじめに

近年、神奈川県でも線状降水帯による記録的な豪雨や、台風の大型化による被害が増加しています。特に、横浜市や川崎市などの市街化区域では、河川の氾濫だけでなく、内水氾濫（下水道の処理能力を超える降雨）による浸水リスクも無視できません。（出典：神奈川県 ハザードエリアの指定状況等より）

あなたの家を、風水害の猛威から家族を守る「最後の砦」とするために、具体的なリフォームの秘訣をご紹介します。

【目次】

1. 屋根・外壁の強化：家を「風雨に耐える鎧」にする
2. 窓の強化と浸水対策：開口部からのダメージを防ぐ
3. 風水害対策リフォームのネクストアクション

4.まとめ：未来の安心のために、今、一歩を踏み出そう

① 屋根・外壁の強化：家を「風雨に耐える鎧」にする

家の最前線で風雨を受け止める屋根と外壁は、まさに「家の鎧」です。この鎧の防水性能と耐久性を高めることが、雨漏りや強風被害を防ぐ基本です。

1-1. 屋根の補強と防水

屋根材の劣化や固定不良は、強風による飛散や雨漏りの直接的な原因となります。

• 瓦の固定強化: 強風で瓦が飛ばされないよう、専用の金具でしっかり固定します。特に古い瓦屋根は固定が甘くなっている可能性があるため、点検が必要です。
• 防水シートの点検・交換: 屋根材の下に敷かれた防水シート（ルーフィング）の劣化は、雨漏りの最大の原因です。傷んだシートは新しいものに交換し、確実な防水機能を確保します。
• 高耐久屋根材への葺き替え: メンテナンスフリーで耐久性の高いガルバリウム鋼板や、軽量で風に強い屋根材への葺き替えは、家全体の耐風性を高める上で有効です。

1-2. 外壁の補修と防水

外壁の小さなひび割れや目地の劣化から、雨水が侵入し、構造材の腐食につながります。

• ひび割れ補修と塗り替え: 外壁の小さなひび割れも早めに補修し、防水性の高い高耐久塗料で塗り替えることで、外壁の保護性能を高めます。
• シーリング（目地材）の打ち直し: 外壁材の目地にあるシーリング材は、経年劣化で硬くなり、ひび割れが発生します。定期的に打ち直すことで、構造部への水の侵入を防ぎ、防水性を保ちます。

②窓の強化と浸水対策：開口部からのダメージを防ぐ

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2-1. 窓の強化（飛来物対策）

• シャッター・雨戸の設置: 強風で飛来物がぶつかるのを防ぎ、窓ガラスの破損を防ぎます。特に台風シーズン前の点検や、急な嵐に対応できる電動タイプへの交換も有効です。
• 飛散防止フィルムの貼付: 万が一窓ガラスが割れても、ガラス片の飛散を防ぎ、ご家族の怪我や二次災害を防止します。
• ペアガラス・防犯ガラスへの交換: 断熱性だけでなく、外部からの衝撃に強いタイプのガラスに交換することで、より安心感を高めます。

2-2. 浸水対策（水の侵入経路を遮断）

• ハザードマップの確認: まず、お住まいの自治体（横浜市、藤沢市、横須賀市など）が公表している洪水・内水・高潮ハザードマップを確認し、自宅の浸水リスク（浸水深）を把握しましょう。（出典：横浜市 浸水ハザードマップなど各自治体）
• 止水板・防水パネルの設置: 浸水リスクが高い玄関や勝手口、ガレージの入り口などに、簡易的な着脱式止水板や、常設型の防水パネルを設置し、家屋への浸水を物理的に防ぎます。
• 排水設備の改善: 敷地内の排水溝や雨水枡の点検・清掃を行い、必要であれば容量の大きなものに交換したり、雨水貯留タンクを設置したりして、敷地内の水はけを向上させます。
• 外構の勾配調整: 庭やアプローチの勾配を調整し、建物の基礎に向かって水が流れ込まないようにすることで、浸水リスクを低減します。

③ 風水害対策リフォームのネクストアクション

3-1. 自治体の補助金・助成金をチェック！

神奈川県では、直接的な風水害対策の補助金は限られますが、省エネリフォームとして窓や屋根を改修する場合に、結果として耐風性・防水性の向上も図れる制度があります。

• 既存住宅省エネ改修事業費補助金: 窓などの省エネ改修工事に対して補助金が交付されることがあります。（出典：神奈川県ホームページ 既存住宅省エネ改修事業費補助金）
• 市町村独自の助成制度: 三浦市の住宅リフォーム助成事業や、清川村の住宅リフォーム助成制度など、市町村独自のリフォーム助成事業を活用できるケースがあります。（出典：三浦市住宅リフォーム助成事業、清川村 住宅リフォーム助成制度）

注意点: 補助金は工事着手前に申請が必要です。お住まいの市町村の最新情報や要件を必ずご確認ください。

3-2. 専門家による点検と計画比較

• 家の点検依頼: 屋根や外壁、雨樋など、普段見えにくい場所の劣化状況は専門家（リフォーム業者や建築士）に点検してもらいましょう。
• 複数業者の提案比較: 複数のリフォーム業者から、対策案と費用を比較し、ご自宅のハザードマップリスクに最も適したプランを選びましょう。

 

よくある質問（Q&A）

Q1: 台風対策のリフォームは、火災保険を使えますか？ A1: 火災保険の契約内容に「風災補償」が含まれていれば、台風や強風で家が被害を受けた場合の修理費用に保険金が適用される可能性があります。ただし、被害を受ける前に行う予防的なリフォーム費用は対象外です。まずは加入している保険会社に、被害状況を相談してみましょう。

Q2: 浸水対策の止水板は、豪雨のたびに設置が必要ですか？ A2: 簡易型の止水板は、豪雨警報時など浸水の危険が迫った際に、ご自身で設置する必要があります。常設型の防水パネルであれば、手動や電動で閉じるだけで済むものもありますが、コストは高くなります。ご家族の労力や設置頻度を考慮してタイプを選びましょう。

Q3: リフォームで屋根材を軽量化すると、風にも強くなりますか？ A3: はい、効果が期待できます。屋根を軽量化すると、建物全体の重心が下がり、揺れにくくなります（耐震効果）。また、近年使われる軽量なガルバリウム鋼板などの屋根材は、瓦に比べて一枚一枚がしっかりと固定され、風による飛散リスクが低いため、耐風性の向上にもつながります。

④まとめ：未来の安心のために、今、一歩を踏み出そう

神奈川県で増加する台風や豪雨の脅威に対抗するためには、ご自宅の「防水性」と「耐風性」を高めることが不可欠です。

屋根・外壁の鎧の強化、窓の飛来物対策、そして浸水リスクに応じた止水対策を講じることで、家は風水害から家族を守る強固なシェルターへと変わります。まずはハザードマップを確認し、専門家による点検を通じて、あなたの家にとって最も優先すべき対策を見つけましょう。この一歩が、未来の安心な暮らしへとつながります。